2021年7月23日に国立競技場でおこなわれた東京五輪開会式。
テニスの大坂なおみが聖火の最終点火者となり、会場上空に地球をかたどったドローンが躍った。
しかし、本番4日前に音楽制作チームのメンバーだった小山田圭吾氏が辞任し、前日には開閉会式のショーディレクターを務めていた小林賢太郎氏が解任と、舞台裏は混迷を極めた。
この大混乱の引き金を引いたのは、五輪開会式の執行責任者だった振付演出家のMIKIKO氏が2020年5月、突然役職を下ろされたことだった。
MIKIKOチームがIOC側にプレゼンし、絶賛された“幻の開会式案”とはどんなものだったのだろうか。
東京五輪開会式の執行責任者だった振付演出家・MIKIKO氏(43)。
彼女が責任者を降ろされたことで、日の目を見ることなく、“なかったこと”にされたMIKIKOチームの開会式案の全貌が判明した。
MIKIKO氏が責任者を外される直前にIOC側にプレゼンし、称賛を受けた約280ページに及ぶ資料を「週刊文春」は入手した。
プレゼン資料は昨年4月6日付。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、開催延期が正式決定した直後のものだ。
「IOC側は『よくここまで準備してくれた』と大喜びでした。コロナに関するメッセージを盛り込む必要はあるが、現状の企画書に手を加えれば大丈夫。殆どの関係者がそう考えていました」(組織委員会幹部)
ところが、その約1カ月後の昨年5月11日、MIKIKO氏は電通の代表取締役から責任者の交代を通告される。後任に就いたのが、佐々木宏氏(66)だった。
だが、その佐々木氏も、タレントの渡辺直美の容姿を侮辱する演出案を披露したことを理由に3月18日、辞任を表明する。
これを受け、組織委員会の橋本聖子会長は「大会まであと4カ月に迫る中で、一から作り上げるのは困難。
佐々木チームの案をベースとして、新たなものを作り上げるのがベスト」などと述べていた。
「MIKIKOチームの案が日の目を見ることは事実上、ゼロになりました。ただ、多くの関係者が『彼女の案は素晴らしかったのに』と惜しんでいる。実際、渡辺直美さんもYouTubeで『その演出がマジ鳥肌! かっこいいし、最高の演出だった』などと絶賛していました」(組織委員会関係者)
MIKIKO氏が演出を指揮する「執行責任者」に就任したのは、2019年6月3日のこと。
就任の事実は公にはされなかったものの、IOCへのプレゼンでは高い評価を受けるなど本番に向けて準備を進めていた。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の1年延期が決定。
大会運営の簡素化を理由に権限を佐々木氏に集中させたいとの電通側の意向もあって、昨年5月、突如としてMIKIKO氏は責任者を降ろされた。
「以降、電通側からMIKIKO氏への連絡が途絶えました」(組織委関係者)
そのMIKIKOチームの案はどんなものだったのか。
返信する